まるぞう工房の中国在廊記
2024年の年末に、とある上海のお店からご連絡を頂きました。そしてそこからわずか4か月後の2025年4月、お店を訪ねに中国へ行くことになります。注文リストを既に頂いていて、納品は6月(と言う事は中国への輸送を考えるともっと早い)でしたが、どうせならこのタイミグでも持っていける分は持っていきたい。なのでハイピッチで焼き続けました。窯がすごく小さいので、小回りが利くのが良かった。
最初は安全性も考えて小さなスーツケースで行こうかと思っていたけれど、量的にどう考えても機内持ち込みは不可。一番大きなスーツケースに入れて荷物として預けるしかなかったので、全ての商品をプチプチでぐるぐるにくるんで、毛布やクッション、服などを詰めまくってパンパンの状態でケースを閉めました。プチプチが結構面積をとるので、一番大きなケースで本当にやっとです。使った航空会社はLCCの春秋航空、預け荷物の制限が20kg、持ち込み手荷物が7kgだったので、体重計を持ってきて、まず自分だけで乗って体重を量り、その後で荷物を持ってもう一度量ると言う原始的なやり方で荷物の重量を量ります。初めは21kgくらいで、なんと20kgを超えてしまっている。しかたなくTシャツなど作品を守ってくれているものを削って、スーツケースの方はようやく20.4kg。どれだけシビアに量られるのか、ジャッジされるのかは航空会社によって違うのかもしれませんが、実際に荷物を量ってもらって「20.4kg」と表示されながらもいけたのでした。
パスポートを取るところから
話しは少し遡って、ここからはパスポートを取るところから順番に辿ります。前回パスポートを使ったのって、確か2014年くらいだったか…ベトナムへ行った時が最後でした。そして少し前に有効期限が来ていたことは知りながら、特に予定もないので更新は行わず。結果期限は切れていたので、再度取り直す事になりました。今はオンライン申請も出来たのですが、それにはマイナンバーカードが必要。カードは作ってなかったので…直接旅券事務所へ行きました。行く前に電話で問い合わせると、作るのに必要な期間は2週間ほど。3月も末で繁忙期は過ぎているかなと思っていましたが、早く作れて良かったです。
ちなみにホテルはお店の方が取って下さることになりました。そんな待遇をして頂けるなんて、本当に有難すぎて頭が下がる思いでした。
大事な荷造り
作品を無事に上海へ持って行く、これが今回のメインミッション。準備出来た点数は50点ほど。全部をプチプチで包むのは大変だったけれど、着いて見てみたら割れてる…なんて事になったらみんなションボリになるので、一つ一つしっかり包みました。作品以外の着替えなどの荷物は、小さなカバンに納まるくらいしか持っていきませんでした。と言うより20kgと7kgに納めようとしたら、持っていけなかった。まあ作品以外は携帯とパスポートさえあれば、向こうでどうにかなります。どうしても壊れそうな物はしっかり包んで、手荷物に入れました。だから手荷物には作品と、お土産と、本が2冊。これだけでも結構重たかったです。

関西空港までの移動の準備は、前日までに全て済ませておきました。荷物も重いし、とにかく安心安全に行けることを優先して特急で。ちなみに特急を使わずに在来線を乗り継ぎ乗り継ぎで行っても時間はほとんど変わらない。それなら安い方を取るという選択肢もありましたが、とにかく”安心安全”がなにより優先です。職場の最寄りの草津駅から直接行くことにしたので、そのため一部定期区間もあります。そんな事もあってみどりの窓口へ行って行き方をいろいろ相談します。定期があるなら、一度改札を出るのが分かりやすい。でも、「正直この行き方が一番良い」とベストな方法を教えて貰えました。それは定期券に乗車料金をチャージしておいて、改札を出る事なく乗り換えるという方法。窓口では特急券だけ買っておきます。そうすれば出る時も定期を改札にかざすだけでOK。草津から京都駅で乗り換える事にしていたのですが、一度改札を出るにはちょっと距離があります。それにタイミングによっては改札周りは観光客の人たちで混雑している事も。また定期券にチャージしておかなくても乗り継ぎは出来ますが、最後出る時に有人の改札へ行ったり結局そこでチャージをするという作業も必要になってくる。そこでも既に人がいる場合は時間を取られるリスクがあります。教えてもらった、初めにチャージしておく方法がベスト。それにチャージだけなら草津駅でも出来ます。特急も指定席にして、乗り換えの要領とかも聞くと、それもとても親切に教えて貰えて大変感謝でした。
当日
よくよく考えてみると…超ギリギリ?!
関西空港の勝手は三年前くらいに国内線のpeachに乗ってるから、何となく覚えてます。今回もLCCの春秋航空だから第二ターミナルへ行かないといけない。それで改めて時間をチェックしていると、これってもしかして、相当ギリギリ…?飛行機は19:30でしたが、調べてるとチェックインは厳密に出発予定時刻の45分前。また関西空港の第二ターミナルは電車で空港に着いてから、連絡バスに乗って移動する必要があります。電車を調べると空港に着くのはどう頑張っても17時58分。カウンターには18時45分が締め切り。ネットで調べたりしていると、第二ターミナルへは20〜30分は見ておきましょうと言う情報も。これはもう乗り換え、移動、一つのミスが命取りになりそうなタイムスケジュール…JRが遅れたら一発アウトの可能性も(JRは度々遅れたり、途中で遅延が発生したりします)。ですが結果的には、完璧な移動でしっかり間に合う事になります。空港に電車がついたのは予定通りの時間でしたが、カウンターに着いたのは何と18時6分。10分くらいでいけました。その時の詳しい話はまた別の記事で…。






素敵なお出迎え
中国到着からの流れは、上海の浦東空港からまず今回お世話になるお店まで移動して、作品を出して夜中に陳列などを終わらせて、そこからホテルへ行くことになります。中国での電車移動、誰かに何かを聞くことになるのは必須だと思っていろんなシミュレーションをしていたのですが、なんとお店の方が空港まで迎えに来てくれました。空港の出口にはまるぞうくんの手作りお面を持ったお店の方。本当に親切であたたかい。空港からはタクシーを使ってお店まで行きましたが、空港の出口には観光客を呼び込むタクシーのキャッチの人たちがたくさんいました。今だにこう言うのあるんだなぁとお店の方は言っていましたが、ぼくはホテルの送迎の人たちの出迎えかと思っていました。以前行ったことのある波照間島での印象で、そう感じたんですね。
(中国のタクシー事情。数年前行った韓国もそうでしたが白タク(個人で協会などに入らず車を走らせている人たち)だらけ。全てアプリで配車。街で手を上げて止めようとするのは観光客だから止まってくれないらしい。観光客は支払いを現金ですることが多く、中国では電子決済が主流だからです。現金を出されてもやり取りが面倒。因みにもしわざと回り道をされても、適切なルートと料金をアプリが教えてくれるとのこと。)


空港からタクシーで40分くらいだったでしょうか。夜の11時頃、お店に着いたら店長とライブコマース担当の方がお出迎えしてくれました。あぁ、こういう人たちなんだ、こんな部屋なんだ、と感じ取る。パンパンに詰まった作品をプチプチから取り出すのをみんなに手伝ってもらい、晩ご飯はウーバーで頼んでもらいました。印象に残ったのはラム肉とカエル。美味しかったけれど、あ〜カエルの形だなぁと、足だな〜とか言いながら頂きました。その間にスタッフのお二人が陳列してくれます。いろいろ考えてくれて大変だったと思います。必要なところは自分でも直させてもらって、この日はおしまい。その後はホテルへも送ってもらいました。ずっと荷物も持っていただいて。チェックインもしてもらって、ホテルのWi-Fiにつながるかを確認したところ、ここでもうまく繋がらない。そこでも色々とやってもらって、結果Wi-Fiにもちゃんと繋げることが出来ました。中国のネットは難しい、次回までの課題です。本当に初日からお世話になりっぱなしでした。






2日目
4月19日、この日はまるぞう工房がスペシャルゲスト。部屋の真ん中には昨晩用意してもらった特製ブースがあります。この日のスケジュールは11時から1時間刻みでオフラインでお客さんが来てくださり、その後夜からライブコマース。と言うことで朝は少し時間があるので、ご主人がホテルまで迎えに来てくださって、一緒に朝ご飯を食べに行く事になっていました。パンが良いかご飯が良いか聞いてくださったのですが、実は朝早くに目が覚めたから一人でホテル周辺を散歩、その時に気になるお店を発見していました。一人では色んな理由で行けそうにないので、そのお店に連れて行ってもらう事にしました。

地元感満載でこう言うところが好きなんです。観光地よりも地元に溶け込める所が良い。そしてこんなお店でも支払いはAlipayとwechatペイに対応。ネットに繋がっていないので支払いは出来ず、ここでもお代はお世話になりました。。その後はもう一ヶ所気になった市場みたいなところへ一緒に行って、ぼちぼちお店まで戻りがてら近所のスタバに寄りました。スタバの代名詞のようなイベントドリンクっぽいのは無くって、一応それっぽいのを注文。美味しくいただきました。ドリンクを飲みながら、ご主人といろんな話をしてとても良いひと時。



お店オープン!
お店の営業スタイルは、オンラインとオフラインに分かれています。オンラインでは文字通りネット配信しながらのライブ販売。オフラインと言うのは普通にお店にお客さんに来てもらうのですが、1時間1組の予約制になっています。なので来てくれた人はゆっくり見たいものを見たいだけ見れるんです。11時から予約のお客さんが来始められるので、それまでに戻ります。この日は天気が良くて、部屋に中は自然光で溢れてとても優しい雰囲気。キッチンの方でゆっくりさせてもらっていると、一組目のお客さん、そこから一時間おきに予約のお客さんが来られて、中国語が話せないし理解も出来ないから歯痒い思いをしながら、それでも英語でやり取りをしたりしました。まるぞう工房を楽しみに来てくださった方々には、ラテアートをお出ししました。その人たちのことを考えて描いて、喜んで貰えて本当に良かった。店長が作ってくれたまるぞうカードに一人ひとりにサインとメッセージも。中国の方は、メッセージカードにサインをしてもらうなど、そう言ったオンリーワンな事がお好きだそうです。その後一緒に記念撮影。たくさんの素敵なアイディアに、改めて本当に心からの感謝でいっぱいでした。ちなみに盛り上がっていたのは、ドレスアップして登場した包包さん。包包さんはライブコマース担当のスタッフですが、ライブ配信中に仲良くなった視聴者の方がお店に来られると言う事で、張り切って来たらしい。いつもライブ配信で認識はあったそうですが、この日が初対面。面白い時代です。
夜はライブコマースです。少しだけ休憩を挟んで、19時半か20時くらいから始まりました。ちなみに夜に出勤してきた包包さんがジャージだったから、何でやねんと心の中でツッコミ。ライブコマースでは作品を紹介してもらって、そそ商品がリストに追加されます。そうしたら見ている人がリストを見に行って購入すると言うシステム。一つずつなので早いもの順になります。自分のスマホでそのライブコマースの様子を見ていたのですが、売れる。瞬時に売れていく。ずっと告知をして下さっていて、ライブコマースの雰囲気も楽しくて素敵で、皆さんの力で売れていく。なんて嬉しいことなんでしょう。もちろん楽しみにしてくれていた人たち、買ってくれた人たちにも感謝でいっぱいです。本当に有難い気持ち。


ちなみにライブコマースには自分も登場しました。ご主人と一緒に!二人でまるぞうともちこ(お店のキャラクター)のお面をつけて、1回目は腕相撲をしている、2回目はダンスをしている、3回目は2人で映画のゴーストの真似をしていると言うのをやりました。すごく楽しかった。途中から近所のお花屋さんが来て、まるぞうブースになっていたところを明日からの「夜の部」に作り変えていく作業が始まっています。本物の苔を部屋の真ん中に敷きつめて、小さな世界が作られていくのが楽しい。


そしてライブコマースも終わってようやくこの日の予定が全て終了。でもここから直ぐに売れたものの発送準備、梱包が始まります。たくさん買ってもらえた。段ボール箱がいっぱいになって行きます。一番大きな箱には、いっぱいイラストを描きました。喜んで貰えると良いなぁ。



3日目
この日も朝の散歩。公園へ行ってみると、花博みたいなのをやっている。よく見ると、みんな記念撮影をしています。しかも色んなポージングを決めて。みんな写真が大好きな様子でとても良いなと思いました。途中でトイレに行きたくなって、公衆トイレを見つけて行ってみたけど紙がなくって断念。日本の公衆トイレでも当たりハズレがあるし、中国でのトイレはなかなかのチャレンジだと思ったのですが、やっぱり駄目でした。この日も10時頃にご主人とホテル下で集合して、この日は新天地の方へ連れて行ってもらいました。そこでエッグタルトなどを食べて、その後タクシーに乗って東の方へ移動。一応有名な建物を見て(なぜ有名なのかはよく分からない)、あずまやのアイスを食べる。すごく濃厚で美味しい。ご主人の友達がやっているお店なのだそう。お腹の調子が怪しかったから、スーパーを探してトイレへ行ったのですが、やっぱり汚い&紙ないわで近くの図書館を見つけて貰って、そこに行きました。トイレットペーパーは持っていかれてしまうから、置いていない所が多いみたい。まあ日本でも持っていかれる場合はありますよね…。図書館はで~~んと大変大きな感じ。大きさ以上に大きく感じるのは不思議でした。




その後は、なんと物件の内覧に立ち会いました。中国での内覧、そんな経験なかなか出来ないから面白い。中国では、工事を依頼してもちゃんと見に行かないとすぐに手を抜かれるそう。その辺りはやっぱり日本と違いますね。外国って感じです。内覧の後はお店に戻って、お客さんを2組お出迎え。昨日も来ていたおばちゃんと、初めての女性の方。最初は静かに見られていたのだけど、最後にはその女性が買ってきていたスタンプとかネコのイベントの話で一緒に盛り上がって、一枚まるぞう工房のお皿を買って行ってくれました。良かったぁ。



2人の接客を終えて少しゆっくりしならが晩ご飯の相談。結果夜はザリガニを食べに連れて行ってもらう事になりました。でもその前に近くのお花屋さんへ行くことに。行ってみたらお花屋さんのお友達も何人か来てくれていて、みんなでちょっとだけラテアート。音楽は国境を超えると言いますが、コーヒーも越えました!お花屋さんは小柄な女の人だったけどパワフルで、店の外で太い木の枝を切って足で折っていました。言葉は分からないけど、ハッキリとしていてサバサバしている印象。中国語が話せたらなぁ。



夕食はザリガニのお店、有名なお店らしいです。臭い焼き臭豆腐、臭いビーフン、辛いザリガニ。臭いものと辛い物ばかり!日中少し唇を日焼けしたのもあって、唇が痛かったです。でも美味しい。初めての中国でいろんな経験をさせて頂けて、何度も言いますが本当に感謝です。お店を出た後は少し上海の夜景を見に連れて行ってもらいました。有名な川沿いをタクシーで走ってもらいます。上海と言えば上海タワー。川を挟んで西側と東側とで発展の仕方が違います。だから離れた場所からこの川を見ると、左と右で全く雰囲気が違って面白いんだとか。東側は高層ビルが立ち並び、西側は昔の雰囲気を残しています。その西側を車で走ってもらったのですが、ライトアップされた街並みがすごく綺麗。人が多すぎて、あまり降りて歩くのはお勧めしないとのことです。




お店に帰ってから少しだけラテアート教室。ピックをプレゼントしたので、色んな柄を描いてもらえるようになりました。何でも楽しくやるのが一番!そしてそのあとホテルへ。2人ともホテルへ見送ってくれて、ご主人とはここで最後になります。この日は日曜日だから、明日からまた仕事です。別れ際にアツいハグをして(笑)別れました。3日間本当に本当に有難うございました!

21日、最終日
最後の日も朝は適当な時間から街をぶらぶら。知らない街をゆっくり散歩するのは不思議と気持ちが落ち着きます。西へ向かってずっと歩いて、トイレを探したり時々本屋さんに入ったりしながらホテルの近くまで戻ってくる。実はホテルのすぐ近くにショッピングモールがある事に気付いて、そこでもトイレを借りました。紙があってよかった。最終日は奥さんが面倒を見てくれる予定で、朝は昨日の物件の内覧に行くとの事だったからそのあと、12時くらいにお店で合流しました。そこには店長も一緒。お昼ご飯を頼んでくれて、そのままの形で乗っていた鳥の頭を食べることになって、そしてredでのブランディングについてアドバイスを貰ったりしました。途中奥さんがズーム会議に抜けると言うことで、その間も店長と色んなお話。趣味の人形の話なども聞きました。色んな世界観があって興味深い。人形の世界も深いですね。そろそろ時間が来たので荷物を再度まとめて、そうこうしているうちに帰りタクシーまで呼んでくれていました。最後の最後までお世話になりっぱなし。おんぶに抱っこです。奥さんが空港まで見送ってくれました。道中タクシーの中で昔の話やこれまでの話、仕事の経歴などたくさん話が聞けて、スゴいなぁと思うことばかり。凄い人っているんですね。そんな人達と出会えた事を本当に嬉しく思います。空港に着いてどの飛行機に乗るかも見つかり、荷物を預けて、いよいよさよならをしました。












ほんの3ヶ月前、中国へ行く事になるとは考えもしていませんでした。人生何があるかわからない。だから決して諦めずに希望を持って自分を信じ、そしていつチャンスが来ても良いように当たり前の事を高いレベルで継続してやる。愚直にただそれだけだと改めて思わされました。ゆっくりで良いから、これからもブランドが育っていく事を願います。中国が好きになった今回の出張旅行。また行きますからね!