便利が怖くって。
例えば、本を買う時のことを考えてみます。どれくらいの頻度でインターネットで購入しているでしょうか?インターネットを使えば欲しいものを見つけて注文することが出来ます。しかも家から一歩も出なくっても数日のうちに届けてもらえるんです。いや、数日どころじゃないですね、amazonなんて翌日です。いったいどこから運んでくれてるんだろうと本当に不思議に思います。いったいどれだけの人が夜中に車を走らせてくれているんだろう…。
また中にはネットでも見つからないものもあります。古い物だったり、価値が付いてしまっているものだったり。そういう場合は今度は、オークションサイトやフリマアプリなどで探します。すぐには出会う事が出来なかったとしても、それでも結構見つかる率は高いです。
家から一歩も出なくっても何でも届けてもらえる。それに関して感じる事は、”機会損失“です。本を買う場合で言うと、普通に考えれば本屋さんへ行く頻度は減少傾向だと思うんです。昔本屋さんでしか本が買えなかった時代と比べれば当たり前です。しかも今の人は忙しい。通勤中や通学中にリサーチしてポチって、後日商品が家に届く。時間を有効活用です。
そこでいろんな物を知らず知らずのうちに失っていると感じるのですが、一番失っているなと思うのが先にも言った”機会”です。全く予見していなかった、出会うはずの無かったものと出会う機会です。本屋さんへ行くと、その本を探すのにいろいろと歩き回ります。今は本を探す端末が置いてあるところも多いですが、それでも最短ルートで向かったとしてもいろんな本の間を通り抜けていくことになります。小説コーナー、文庫本、女性・男性雑誌、歴史書、哲学書、漫画コーナー…。ネットでの買い物って、こういう自分の全く興味のないものをすっ飛ばしちゃうんですよね。
インターネットでは、現実で行うようなウィンドウショッピングって出来ないと思います。ショッピングサイトへいけば、これまでのデータからユーザーへ最適化されたおすすめの商品が提示されます。例えばコーヒーの事を良く調べていたら、コーヒー関連の商品が表示されます。そして何かしらのキーワードを検索窓に入れたり、カテゴリから探しに行くという事になります。
しかもこれからはスマホにもどんどんAIが搭載されることで、一層個人への最適化が進みます。普段調べている事柄や見ているネットニュースなどから、今以上に最適な商品などを表示させる事なんてたやすいでしょう。もしかするとそう言ったフィルターを取り除く機能も出てくるのかもしれませんが。
とにかくそう言ったことが、生活のあらゆるところで起きていると思います。自分で選択している様に思っているだけで、それは選択させられているんです。本当は世界は無限の広がりを持っているはずなのに、もはやそれを見せてもらう事も出来ない。自分から見に行かないと、自分は小さな小さな世界でしか生きていない井の中の蛙だと言う事にさえ、もう気付けないかもしれません。スマートフォンの先駆者、スティーブジョブスは自分の子供には15歳になるまでスマホは持たさないと言っていたそうです。便利は不可逆性です、気を付けたいです。